猫のリンパ腫💉
- 2019/08/26
- 17:59
こんばんは(=^・^=) 院長の加藤です。
最近の当院の猫ちゃんの症例で、前縦隔型リンパ腫(2歳)、腎リンパ腫(3歳)で頑張っている子がいます。猫のリンパ腫について症例を交えて少し書こうと思います。
リンパ腫は死に至る悪性腫瘍ですが、抗がん剤治療が確立しているので、比較的治療を進めやすい病気でもあります。
リンパ腫とはリンパ系細胞が骨髄以外のリンパ器官等の組織を原発とする腫瘍性増殖疾患の事をいいます。
猫の全腫瘍中の1/3を造血系腫瘍(リンパ系と骨髄系)が占め、さらに、そのうちの50‐90%をリンパ腫が占めており、リンパ腫は猫に最もよくみられる腫瘍のひとつです。
リンパ腫はリンパ節や脾臓のようなリンパ組織から生じますが、体の全ての組織から生じる可能性があります。発生部位によって前縦隔型(20~50%)、消化器型(30~50%)、多中心型(4~10%)、節外型(中枢神経系、腎臓、皮膚、鼻腔、眼)に分類されます。臨床症状は発生部位により異なりますが、元気食欲低下、嘔吐、下痢など様々です。
発生と病因に関しては猫白血病ウイルス(FeLV)が陽性の場合では陰性と比べ約60倍、猫免疫不全ウイルス(FIV)が陽性の場合では約5倍、両方陽性の場合では約80倍発症する危険性があるといわれています。また、受動喫煙に暴露されている猫のリンパ腫発症の危険度は2.4倍で、5年以上の暴露では3.2倍といわれています。
シャムネコは好発品種とされています。
●前縦隔型リンパ腫と診断したケースでは、息が苦しそうで元気がない、食欲廃絶という主訴でした。レントゲン検査により胸水貯留による呼吸困難と判断し、酸素化しながら鎮静化で胸腔穿刺を行い胸水の除去と細胞の検査を行いました。
初診時のレントゲン写真、
胸水の沈査塗抹検査の顕微鏡写真
抗がん剤治療2日後(退院時)、退院2週間後のレントゲン写真です。



リンパ系の細胞が多数認められたことから、前縦隔型リンパ腫と診断し、同日よりCHOPプロトコールにより治療を開始しました。1日後から食欲がもどり、2日後に退院しました。現在は寛解の状態で維持期に入っており、自宅で元気にしているようです。
●腎リンパ腫と診断したケースでは、食欲廃絶、おしっこをもらしてしまうという主訴でした。尿検査で著しい低比重尿、血液検査ではBUN 240mg/dl、クレアチニン13.6 リンの値も著高で、尿毒症の状態でした。 レントゲン検査で左右とも腎臓の腫大44ミリ越え、腎皮質の高エコーを認めました。

腰下リンパ節の腫大は認めませんでした。 腎リンパ腫の発生はリンパ腫全体の5%程度で難治性のものが多いと言われていますが、抗がん剤の効果期待できるので、飼主さんと相談し、早速、L-アスパラギナーゼを加えたCOPプロトコールで、抗がん剤療法を開始したところ、3日後にはBUN160ml/dl クレアチニン8.17に低下し、3日後にはBUN55.8mg/dlクレアチニン2.0まで低下し、7日後には食欲が戻り、元気も取り戻しました。
猫のリンパ腫は状態が許すのであれば、早めに抗がん剤を始めることが大切で、反応が良いほど予後も良いと感じています。
最近の当院の猫ちゃんの症例で、前縦隔型リンパ腫(2歳)、腎リンパ腫(3歳)で頑張っている子がいます。猫のリンパ腫について症例を交えて少し書こうと思います。
リンパ腫は死に至る悪性腫瘍ですが、抗がん剤治療が確立しているので、比較的治療を進めやすい病気でもあります。
リンパ腫とはリンパ系細胞が骨髄以外のリンパ器官等の組織を原発とする腫瘍性増殖疾患の事をいいます。
猫の全腫瘍中の1/3を造血系腫瘍(リンパ系と骨髄系)が占め、さらに、そのうちの50‐90%をリンパ腫が占めており、リンパ腫は猫に最もよくみられる腫瘍のひとつです。
リンパ腫はリンパ節や脾臓のようなリンパ組織から生じますが、体の全ての組織から生じる可能性があります。発生部位によって前縦隔型(20~50%)、消化器型(30~50%)、多中心型(4~10%)、節外型(中枢神経系、腎臓、皮膚、鼻腔、眼)に分類されます。臨床症状は発生部位により異なりますが、元気食欲低下、嘔吐、下痢など様々です。
発生と病因に関しては猫白血病ウイルス(FeLV)が陽性の場合では陰性と比べ約60倍、猫免疫不全ウイルス(FIV)が陽性の場合では約5倍、両方陽性の場合では約80倍発症する危険性があるといわれています。また、受動喫煙に暴露されている猫のリンパ腫発症の危険度は2.4倍で、5年以上の暴露では3.2倍といわれています。
シャムネコは好発品種とされています。
●前縦隔型リンパ腫と診断したケースでは、息が苦しそうで元気がない、食欲廃絶という主訴でした。レントゲン検査により胸水貯留による呼吸困難と判断し、酸素化しながら鎮静化で胸腔穿刺を行い胸水の除去と細胞の検査を行いました。
初診時のレントゲン写真、
胸水の沈査塗抹検査の顕微鏡写真
抗がん剤治療2日後(退院時)、退院2週間後のレントゲン写真です。




リンパ系の細胞が多数認められたことから、前縦隔型リンパ腫と診断し、同日よりCHOPプロトコールにより治療を開始しました。1日後から食欲がもどり、2日後に退院しました。現在は寛解の状態で維持期に入っており、自宅で元気にしているようです。
●腎リンパ腫と診断したケースでは、食欲廃絶、おしっこをもらしてしまうという主訴でした。尿検査で著しい低比重尿、血液検査ではBUN 240mg/dl、クレアチニン13.6 リンの値も著高で、尿毒症の状態でした。 レントゲン検査で左右とも腎臓の腫大44ミリ越え、腎皮質の高エコーを認めました。


腰下リンパ節の腫大は認めませんでした。 腎リンパ腫の発生はリンパ腫全体の5%程度で難治性のものが多いと言われていますが、抗がん剤の効果期待できるので、飼主さんと相談し、早速、L-アスパラギナーゼを加えたCOPプロトコールで、抗がん剤療法を開始したところ、3日後にはBUN160ml/dl クレアチニン8.17に低下し、3日後にはBUN55.8mg/dlクレアチニン2.0まで低下し、7日後には食欲が戻り、元気も取り戻しました。
猫のリンパ腫は状態が許すのであれば、早めに抗がん剤を始めることが大切で、反応が良いほど予後も良いと感じています。
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